人件費を安くするということの愚かさ

多くの企業がやっていることであるが、それが回りまわって自分の首を閉めていることに
気付いているのだろうか?人件費を削減することによって一時的に利益は増えるかも知れないが、
それを長く続けることは非常に危険である。なぜならば、例えばある製造業の会社が、
人件費を減らしたとする。その社員は給料が減って今までのようにものが買えなくなる。
したがってその会社の業界以外の売上が落ちる。売上が落ちたほかの業界の会社は利益を
上げるために同じように人件費を下げると、その影響はどんどん広がっていく。
この状態が続くと見た目上は利益が上がりながら、次第に収入が減っていくという、
まるで見た目は立派だが、全身が骨粗しょう症の人間のようになる可能性がある。
これは、今の会社が目先の利益だけを追い求めて、長い目で将来を見ることが出来なく
なっているからかもしれない。若い労働者や未経験者を育てることをしないで、即戦力の
人材ばかりかき集めて使っている会社も同じで、何も出来ない人材を大量生産しているのと
同じだということに気付いているだろうか?
人材を育てることがめぐりめぐって消費者を生んでいることになると思うのだが。
また、年功序列というのは今まで批判の対象とされていたが、改めて冷静に考えると、
日本の企業が、長いスパンで将来を見ることが出来る良い制度だったのかもしれない。
それを高度経済成長期でしかありえない、夢のような制度として捨て去るのもいいが、
もう一度見直して、今の現状に合った長期的視野で将来を見る基準として再び生かすことを
考えてみるのも良いかもしれない。