派遣切りの次は社員切り

日本では社員を切る場合いくつか条件があり、その一つが派遣社員をすべて切ることだと知っている人は少ないようだ。つまり派遣社員を切らないとどんな無能な社員でもリストラすることはできない。このしくみは年功序列から実力重視に改善されたといわれて久しいが、実はまったく違うどころか真逆といっていいくらいの大失敗だった。やる気の無い、実力の無い正社員を簡単に切れず、また、そうなることを恐れて簡単に正社員を雇うことができないという悪循環に陥る元凶になっている。労働力の流動化というのは非正規社員に限ったことで、正社員に関してはまったく時代に逆行していて、これが今の日本の企業の生産性を著しく低下させているのである。派遣切りは一様にむごいというが、地震に例えれば初期微動のようなもので、これから始まる正社員切りが本当の大地震なのである。むしろ今切られた派遣社員は冷静に今の状況をとらえて、次の機会を待つ方がいい。この間に何かを身に付けることは今後のためにきっと役に立つ。むしろ次にくる本格的なリストラで正社員が悲劇の表舞台に立つことになるだろう。